色彩コラムvol.10~ゴッホの名画からひも解く色彩心理~
2019.12.16
ゴッホと言えば、花瓶もお花も黄色で描いた「ひまわり」や
黄色と青が印象的なアルルの「黄色い家」が代表的です。
今年は「永遠の門 ゴッホの見た未来」の映画も公開され更に注目されています。
ゴッホが描いた作品は、時代によって様々な変化を遂げています。
今日は、ゴッホの名画から「色」にフォーカスして色彩心理を探っていきましょう。
◆《ひまわり》から見る黄色とオレンジ
《ひまわり》1888年
『黄色』は赤ちゃんが初めて認識する色の1つです。
黄色を色彩心理で表すと「明るさ」や一筋の「光」を意味します。
「好奇心」にあふれ、自分に「注目して欲しい時」に『黄色』が気になったりします。
ゴッホのひまわりの作品からは『オレンジ』の色も感じます。
『オレンジ』は「楽しさ・温かさ」など「陽気」で人付き合いもよく「社交的」な意味もありますが、
その反面、何かに「依存」したり「満たされない寂しさ」も隠れていたりしています。
そんなゴッホの心理状態が《ひまわり》の絵には隠されているのかもしれません。
◆アルル時代の作品から見る補色の世界
《黄色い家》1888年
《夜のカフェテラス》1888年
ゴッホがゴーギャンと共同生活をするために活動拠点として借りた「黄色い家」など、
南仏アルルでは数々の傑作が生まれています。
その中でも補色*を用いた作品がとても印象的です。
「黄x紫」「オレンジx青」この補色の組み合わせを巧みに描いた作品です。
夜の暗闇を黒で表現せず青や紫で表現することで、
黄色い家やカフェテラスからの明かりが引き立っているのがわかります。
ゴッホは色彩がもたらす効果について非常に研究熱心だったと伝えられています。
(*補色:互いの色を最も引き立たせる色の組み合わせのこと)
◆晩年のゴッホの作品から見る心の描写
《星月夜》1889年
《自画像》1889年
ゴッホが晩年、精神病院に入院していた時に描かれた作品です。
この頃の特徴はうねりを表現した作品が多く見られます。
《星月夜》の青と黄色のコントラストは、「絶望と希望」の感情を
心のうねりとして描いているように感じます。
入院生活の間、激しい発作に苦しんでいたゴッホは、
次の発作がいつ起きるかもわからない不安や苦悩の精神状態を、
強く渦を巻いているという背景で表現しているのです。
◆色彩表現時代
《花魁》1887年
パリを拠点として活動していた頃のゴッホは、モネやルノワールの作品に出合います。
その明るく美しい色使いを目の当たりにしたゴッホは色彩に目覚め、
色のもつ意味合いや、色の使い方を自身の作品に取り入れ始めます。
日本の浮世絵の技法や色使いも影響されたと言われています。
ゴッホは生前全くの無名画家でした。
死後15年以上経過してから作品が認められ今の名画に繋がるのです。
今日はゴッホの名画からひも解く色彩心理の世界をお届けしました。
ゴッホの作品を通して、うねり表現や、配色などが何を意味するのか、
こうしていろんな角度から名画を鑑賞するのも、
感性を磨き、想像力を働かせるきっかけになるのではないでしょうか
あなたの心の色は何色ですか?
最後にゴッホからの言葉を贈ります。
美しい景色を探すな
景色の中に美しいものを見つけるんだ
ーフィンセント・ウィリアム・ファン・ゴッホー
writer 成海舞乙(mao narumi)
参考サイト:http://www.musey.net/1426
torie本部講師 成海 舞乙
torie認定 色彩心理メンタルトレーナーを開講出来る、数少ない講師の一人として活動しています。色彩心理学×ライフスタイルで、他人の目を気にせずラクに生き、自分のために生きるきっかけ作りのお手伝いをしています。